日本脳炎の原因と治療及び「予防接種」の現状について

日本脳炎の原因と治療及び「予防接種」の現状について

幼い頃から、予防接種という形で日本脳炎という疾患は漠然ながらご存知かと思います。

 

幼心に幾度と注射という痛みを受け、生涯その名を忘れる事はないでしょう。

 

我が国がこれほど予防接種に勤しむ・・・

 

如何に日本脳炎という疾患が危険であるか容易に伺えます。ですがその予防接種にも一定のリスクがあり、そこも無視出来ません。

 

よって今回は、日本脳炎の原因や治療を知り「自分の為」に知識を向上させ、「お子様の為」に予防接種の現状を知っておきましょう。

 

日本脳炎の概要

 

日本脳炎とは、コダカアカイエカが日本脳炎ウイルスを保有する豚を刺した後、ヒトに刺した際にウイルスを侵入させる事で起こる感染症です。

 

豚→ヒトが経路であり、ヒト→ヒトへ感染する事はありません。

 

世界的に見れば毎年4万人程の患者発生の報告が見られますが、日本においては予防接種により日本脳炎の流行が食い止められており、現在では毎年10人以下しか発症しない稀有な病気に分類されています。

 

10人以下の発症例という稀な病気であり、特に気に掛ける必要はないのでは?

 

と思われるでしょうが、実際の感染者数はその数千、数万倍に及ぶとされており、決して楽観して良い数字ではないのです。

 

では何故それだけの感染者数が居るにも関わらず、毎年10人以下の発症者で済んでいるのかと言うと、それは日本脳炎ウイルスの特性と予防接種によるものが大きいと言えます。

 

そもそも日本脳炎ウイルスは、ヒトの体内に侵入したところで症状を呈さない不顕性感染である場合が多く、実際にウイルス感染して発症する確率は1/1,000程度と明らかになっているのです。

 

さらに、予防接種により発症率はさらに低下します。これにより毎年10人以下の発症で済んでいるのですが、「感染者」としてはその発症者数より遥かに多いのです。

 

逆に言えば、今も昔も「感染」についての大きな変化はなく、現にあなたも過去に感染した可能性は十分にあると言えます。

 

予防接種こそ定期的に行われていますが、何時日本脳炎ウイルスが変異するか・・・

 

それを考えると、何時かパンデミックが来るのではないかと懸念されているのです。

 

症状や治療について

 

症状については、2週間程度の潜伏期間を経て頭痛、嘔吐、嘔気、めまいなどを現した後、意識障害、神経障害、高熱が急激に現れ死に至ります。

 

死亡率は最高で40%とされ、極めて危険な病気である事が伺えます。

 

なお、幼児や老人であれば死亡率はさらに跳ね上がります。

 

そして、問題はその死亡率だけではありません。運良く40%という死亡率をすり抜けたとしても、今度は50%以上も可能性がある「後遺症」の存在があるのです。

 

しかもその後遺症は過酷なものばかりです。精神発達遅延、精神障害、麻痺、痙攣など・・・

 

どれも日常生活を送るにあたり、致命的なものばかりだと言えるでしょう。

 

治療についても、特効薬や特別な治療法がある訳ではありません。

 

日本脳炎の治療は「対症療法のみ」であり、痙攣や高熱の管理が行われるだけです。時にステロイドによる治療を試みる事がありますが、一時的に現在の症状が緩和されるだけで、後遺症のリスクには変化がありません。

 

この日本脳炎という病気は発症すれば絶望的なものであり、如何に「予防」するかという観点で考えなければならないのです。

 

「予防接種」は危険?

 

日本脳炎における最も大切な要素である「予防」・・・

 

それを一身に背負う予防接種ですが、これについても一定のリスクがあるようです。

 

通常、日本脳炎の予防接種は計3回、幼児期に2回と児童期に1回接種されます。

 

これで、いざ日本脳炎ウイルスに感染したとしても、発症する可能性は限りなく0になるのです。

 

これだけ聞けば、今後も積極的に予防接種を啓発していくべきと考えるでしょうが、日本脳炎ワクチンに副作用というものがあるのをご存じですか?

 

そのほとんどは、発疹が現れたり、その他発熱や倦怠感程度を現し、沈静化していく事がほとんどです。

 

しかし少数、急性散在性脳脊髄炎と呼ばれる神経系の疾患に移行する事があるのです。

 

こうなると、発熱、嘔吐、嘔気、頭痛、痙攣発作、脳炎のような症状、下肢麻痺、感覚障害など、あらゆる症状を呈し、最終的に死に至る事もあります。

 

基本は予後良好と言われていますが、10%程度の確率で後遺症が見られるというデータもあり、1/10という高確率を予後良好と判断して良いのか疑問に残ります。

 

ただ、日本脳炎ワクチンを接種して急性散在性脳脊髄炎に移行する確率は、最悪でも予防接種「70万回に1回」程度であり、これを高確率と判断するか低確率と判断するかは人によりけりです。

 

まとめ

 

「発症すれば」まずこれまでのような生活を営む事は出来ません。

 

よって予防が大切になりますが、その予防にも一定のリスクがあり、判断に苦しむご両親もおられる事でしょう。

 

日本脳炎を発症する確率も、急性散在性脳脊髄炎を発症する確率も一見極めて低く見えますが、「絶対」など存在しないという事だけは言わせていただきます。


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